みんなの学級新聞

日々の生活

マスクを外さない中学生

今回のテーマは、"卒業式"と"マスク依存症"です。

 

 "マスク依存症"とは"不安障害"の一種で、「人からどう思われているか」「他人から風邪などをうつされてしまうのではないか」ということを過度に不安がるものです。

 もちろんマスクは感染症の予防にはつながります。流行病のインフルやウイルス性胃腸炎飛沫感染するので、授業中ペアワークを行ったり、給食で隣の人と向かい合うことの多い教室内でのマスク着用は有効です。防寒にもなりますしね。

 ですが、逆を言えばマスクの表面にはウイルスが付着する可能性は大いにあるのです。もっといえば机上などはウイルスまみれです。注意しても手洗いうがいをしない子どもは多いですからね。そんな状態で給食時などにマスクを一度外し、机の上に置いたりポケットに突っ込むと、マスクをつける意味がなくなってしまうのです。マスクは使い切らなければなりません。一度外したら、新しいものを使わないと意味が極めて薄いのです。

 

 普段子どもと接する中で感じるのは、予防目的ではなく顔や表情を隠すことを目的にマスクをつけている子どもの方が多いということです。原因は大きく分けて以下になります。

 

  1. ニキビなどが多い。
  2. 自分の顔に自信がない。
  3. 他人からどう思われているか気になる。

 

1. ニキビなどが多い

 基本的にマスク依存の子どもはこのパターンが多いです。思春期の子どもにはニキビがつきものです。出来たことのない人はいないのではないでしょうか。1つや2つならいいものの、ぶわっと広がってしまうことも多いです。それらを隠すためにマスクをしています。

 そのような子はおでこにもニキビが広がっていることも多いです。そのため前髪も長めにしていることがあります。

 いわずもがな、そのような条件だと患部は蒸れ、余計にニキビが広がってしまいます。鎮めるためには風通りを良くして清潔にすることが一番なのですが、一時的とはいえ思春期の子どもには難しい選択なのでしょう。

 

2. 自分の顔に自信がない。

 団子鼻、顔が大きい、歯並びが良くない等、思春期は気に入らないことが多い時期です。大人から見れば、それらは個性です。ですが子どもから見ると、時には自殺してしまうほど重大なことです。

 特に漫画やアニメ、ドラマの主人公は美男美女ばかりです。思い描く"憧れ"と自分の顔とのギャップに打ちひしがれることもあります。もしくは他人と比較し、「自分はなんて醜いんだろう」と沈んでしまい、「こんな顔なら隠してしまえ」となることもあります。

 また、笑って崩れた自分の顔=表情が嫌い。という場合もあります。マスクをつければ表情は見えなくなりますからね。

 

3. 他人からどう思われているか気になる。

 上記2つともつながりますが、総合的にここに行き着くのではないでしょうか。いわゆる、"醜形恐怖症"というものです。これが行き過ぎるとマスクを取った時も能面のような顔になっていまっている場合があります。そしてマスクなしでは不安で生活できなくなってしまいます。夏でもマスク、部活中もマスク、発表時や全体合唱のときもマスクです。"表情を見せることが、恥ずかしい"のです。

 

 さて、卒業式のシーズンです。卒業証書授与式でもマスクは外しません。式典ではむしろ目立ちますし、せめて証書授与のタイミングだけでも外せないかと提案しますが、頑なに拒みます。社会通念上のマナーを教える必要もあるので、咳が止まらない場合はハンカチの使用も勧めます。どうしても咳が止まらないほどの重症なら、保健室や校長室で証書を渡す特別措置も取れます。ここまで説明しても、マスクは外しません。

 言わずもがな、式典でのマスク・サングラス・帽子の着用はマナー違反です。それは何故か。もちろん敬意を払うべきであるからです。卒業式に関して言えば、育ててくれた保護者、ともに高め合った友人、送ってくれる後輩たち、そして学び舎へです。

 ここまで説明しても外さないのは、本人の依存度の高さもしくは強い意志、あるいは教員の指導力不足があるのかもしれません。まだまだ精進が必要です。

 

 ところで、マスク依存症の治し方ですが、学校だけで治せるものではありません。家庭・地域と協力して行う必要があります。いろいろな場所で連携し、声を揃えてマナー教育を行い、外すタイミングを増やす=抵抗を減らしていくことが求められます。

 表情や口元の動きは、良好なコミュニケーションを取り、良質な人間関係を作るには不可欠です。メールやSNSで人間関係が希薄になっている今こそ、対面でのコミュニケーションスキルの向上が求められます。